今から約80年余り前の1930年代。アメリカの著名な服飾評論家のアラン・フラッサーは主著「Clothes and The Man」の中で、この時代のことを「エレガンスの極致」と評している。そして「その他の時代に例を見ないスタイルとエレガンスが確立された」、「間違いなく最もエレガントなメンズウエアが生まれた時代」と、この時代を繰り返し賛辞をもって語っている。

 この時代は世界は大恐慌という厳しい時代に入りつつも、世間の経済的状況に影響されない富裕者層が上質な文化や装いを謳歌した時代でもあった。芸術ではアールヌーヴォーからアールデコにかけての一大潮流が欧米を席巻し、人々の生活スタイルに変化をもたらした。自動車産業の発展や大陸横断鉄道の開通、豪華客船の竣工といった飛躍的な交通手段の発展は、人々の行動様式にも莫大な変化をもたらした。

 そんな様々な変革の中で、特に経済的に恵まれた人々は、自らの身に纏うものにも惜しみのないこだわりとお金を注ぎ込んだ。紳士服飾においては、英国は紳士服の聖地「サヴィル・ロウ」で、「ドレープ」と呼ばれる人体の美しいラインを構築した手作りのスーツの様式が登場し、これが後の紳士服のスーツスタイルの基本になったといわれている。こうしたスーツは、かのウインザー公(エドワード[世)や、当時の欧米諸国の名士達や芸術家、文化人等の上流階級をはじめとしたジェントルメンや、銀幕を飾ったハリウッドスター達のエレガントな装いとともに紹介され、そんな装いに大衆は憧れ、ときめいた時代でもあった。


 このサイトでは、そのような時代を中心とした、往年の紳士服のスタイル「The 30's Style」(=30年代スタイル)と呼んでいる。現代のスーツスタイルとは趣の違う当時のスタイルは、レトロでありながら、どこかモダンな雰囲気と、そして現代にはないエレガンスとダンディズムを内包したスタイルといえる。当サイトはそのような当時の紳士服のスタイルに傾倒した管理人と、管理人と趣向を同じにする数人の知人との情報交換によりつくられた、プライベート・サイトである。


The 30's Style
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