五線譜のラブレター 特別編 “De-Lovely”

2004年 アメリカ作品
監督・製作/アーヴィン・ウィンクラー
出演/ケビン・クライン アシュレイ・ジャッド 
     ジョナサン・プライス 
個人的には2004年観た映画の中では一番お気に入りの作品。「Night and Day」、「De-Lovely」、「So in Love」をはじめ、数々の名曲を残した作曲家、コール・ポーター。彼が人生の終焉を前に、大天使ガブリエル(ゲイブ)と共に、自らの人生を振り返るラヴ・ストーリー。早くから自らがゲイであることを認めていたコール・ポーター。そんな彼は「パリで最も美しい離婚女性」とうたわれていたリンダ・リーとパーティーで出会い、恋に落ちる。ゲイであることを気にとめず、彼の優しさに惹かれたリンダはそんな彼を受け入れて結婚する。コールの才能を見出し、大物プロデューサーに紹介し、彼の才能に花を開かせていくリンダ。自信のなかったコールはやがて成功していくが、彼のにわかには理解されがたい嗜好は派手な芸能界の中で、次第に増長されていく。そんな状況に嫌気がさしたリンダは一時彼のもとを去るが、そんなコールに思わぬアクシデントが-。二人の間に起こる様々な問題。それでもお互いを思い引かれ合う二人の優しくも切ない関係に思わず涙する。往年の名曲が今をときめくトップシンガーたちによって随所で歌われているのも、ミュージカル好きにはたまらない作品。また、ジョルジオ・アルマーニがデザインしたという、ケヴィン・クライン、アシュレイ・ジャッドをはじめとした登場人物の1920年代〜30年代のファッション・スタイルも華やかで大変素晴らしい。是非とも観て欲しい作品。



炎のランナー  “Chariots of Fire”

1981年 アメリカ作品
監督/アルフレッド・ヒッチコック
出演/ノヴァ・ビルビーム デレク・ド・マーニー
パーシー・マーモント
 エドワード・リグビー
80年代に日本で英国クラシックスタイルのブームの、間違いなく火付け役となった作品。1919年、ユダヤ人であるがための差別と闘いながら、一人の青年が英国の名門大学、オックスフォード大学に入学する。ハロルド・エイブラハムズ。彼は開校以来誰も成しうることのなかった学内の時計台の時報を告げる鐘の音が止むまでに校内の中庭を一周しきるという偉業を初めて成功する。その脚力を認められた彼は、大学の陸上部に誘われ、スプリンターとしての才能を伸ばしていく。一方、スコットランドでその脚力が既に有名となっていた宣教師のエリック・リデル。彼の「走ること」に対する姿勢は根本から違っていた。それは「神の祝福」のためであり、死力を尽くして走った先に、必ず神の御許へ近づける瞬間があることを常に説いていたのである。エリックにとっては、走ることそのものが神への宗教心の顕れなのであった。そんな彼の圧倒的な走りを見たハロルドは愕然とする。何とか彼に勝ちたい、そう思い、陸上界の名コーチ・ムサビーニに指導を懇願する−。走ることを通して見せられる様々な生き様、そして人生観。様々な生き方が交錯する中、物語は英国の威信をかけた1925年パリ・オリンピックを迎える。物語の中で展開される、素晴らしい英国のクラシック・スタイル、そしてヴァンゲリスの荘厳な音楽で展開されるこの映画は、改めて見直すとそれ以上に、実在したスプリンターたちのそれぞれの人生、生き方、哲学をまざまざと見せ付けられる映画である。「自分にとって大事なもの」「絶対に譲れないもの」それが自分の生き方を、人生の操舵となることをしみじみ感じさせられる映画である。






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