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 Cravate  クラバット






今回は「クラバット」(=ネクタイ)について書きたいと思う。現代では「ネクタイ」と呼ばれるこのアイテム、洒落者やこだわりを持つ紳士諸兄は「クラバット」と呼んでいる。この「クラバット」という呼び名はネクタイのフランス式の呼び名で、その起源は1650年代にまで遡る。当時フランスのルイ14世に仕えるべく、パリに来たクロアチアの騎兵隊(Croate)の将兵が首に巻いていた色鮮やかなスカーフ状の布が人々の目に留まり、話題になった。その鮮やかなクラバットは直ぐにフランス国内で広まると、敵国である英国にも波及したという。1666年に英国のチャールズ二世が行った衣服改革宣言の頃には、既に多くの男子の首に巻かれるほどまでに定着していたらしい。このクラバットが後の紳士服におけるネクタイの起源であるといわれ、それが故に現代でも一部では「クラバット」という呼び名で呼ばれているのである。


さて、30年代のネクタイについても現代のものとは違った特徴をいくつか見出すことができる。ここでは当時のものを再現したネクタイを見てみよう。まず長さ。上の画像の真中が当時のスタイルのもの。上はPOLO by Ralph Laurenのもので、下がGIEVES & HAWKESのもの。小剣部分の位置で判るかと思うが30sのものはかなり短い。ちなみに計測したところ一番上のPOLOが145.5a、下のGIEVES & HAWKESが148a、対して真中の30sのものは124aと約20aも短い長さだった。これは当時のトラウザーズが現代のものと違いハイウエストだったため、それにあわせた長さで作られていたからのようで、当時のものも往々にしてその長さは短く作られていた。




幅は全体的に細めで、裏にループ(=小剣通し)はついていない。理由は、当時の多くのタイがタイバーやクラバットチェーンで留めて装うことが前提となっていたからと想像する。左は大剣部分の画像。30sのものは大剣の幅が8aと当時のものに倣ってやや細めのつくり。下に置かれたものは9.7a。画像にはありませんがPOLOのタイは9.5aだった。


当時のものは芯地も裏地もなく、一枚の生地を三つ巻きにしたつくりで、全体的に薄くて軽いものだった。画像のものを見ると、やはり裏地はなく芯地は「結ぶ」という実用的な部分を意識して僅かに薄く入っているのみ。三つ巻きに裏に折り込まれた部分を開いて見ると、その繊細なつくりがまさしく「クラバット」と呼ぶにふさわしい、エレガンス溢れるアイテムであることが判る。


1930年代当時の広告より。
当時は柄物やプリント物など、バリエーション豊富に流通していた。
裏の生地を開いて、「一枚生地三つ巻仕様」をアピールしている。



同じく1930年代当時の広告より。
現代のタイよりも斬新な柄も多く、「ネクタイ」というよりも、
「クラバット」という呼び名がふさわしい雰囲気を感じる。


以上、30年代当時のスタイルのクラバットについてご紹介してみた。現代では、なかなかこうした細めのものを見つけるのは難しいことは否めない。ただしその分価格的にも色柄的にもたくさんのネクタイが出回っているので、その中から色合いやテイスト、サイズ等を鑑みながら、うまくあわせてみるのも良いのではないかと思う。




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