Dressing for Spring & Summer

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"Double Breasted Hound's Tooth Check Suit,"






かつてのDraper's Benchで展開した、春夏のスーツ。春夏のスーツにも関わらずダブルブレステッドという仕様。胸ポケットはフラップつき、背中は往年のピンチバック仕様。当時の貴族階級をはじめとした紳士達がタウン・スーツとして着ていたかのようなスーツである。


フロントはダブルブレステッド・4ツ釦。胸ポケットは珍しいフラップ付きのもの。春夏のスーツであえてダブルブレステッドというところに、着る期間やオケージョンが限られるだけに贅沢さを感じる。生地はウール100%、伝統的なハウンド・トゥース・チェック。このハウンド・トゥース、英語でハウンド(=hound)は「猟犬」、トゥース(=tooth)は「歯」の意味で、「猟犬の歯の形をした格子柄」という意味。画像では判りにくいが実物をよく見ると犬の歯に見えなくもない。元々は英国の地方毎に存在していた郷士の家柄としていくつもあった地方格子柄(=ディスクリクト・チェック)のひとつだったという。ちなみに日本では「千鳥格子」という呼び名で呼ばれており、これはフランス語の「Pied-de-Poule」(ピエ・ド・プル)の訳からとられたものらしく、なるほど柄のひとつひとつが鳥の形にも見え、個人的にはこの呼び名の方をとった日本人の感性にも「粋」を感じる。



背中のピンチバック仕様。背中の両端、肩から腰にかけてプリーツをたたみ、腰の部分には縫い付けの背バンド、そして腰から背中の上部に向かってプリーツが入っている。このタイプのジャケットは米国では別名「バイスイング・ジャケット」とも呼ばれ、元々はゴルフ用のスポーツジャケット(「スイング自在のジャケット」)として売り出されたもの。画像は、在りし日のヘンリー・フォンダのポートレート。アクションプリーツの入ったジャケットを着ている。(参考文献:「男の服飾事典」 堀 洋一/監修 アシェット婦人画報社/刊   画像出典:"DRESSING THE MAN Mastering The Art of Permenent Fashion" Alan Flusser/著 Harper Collins社/刊




今回の装い、スーツ自体が千鳥格子というモノトーンな柄なので、あえて首元にポイントをつける意味で、スカーフをもってきた。水色、ゴールド、ネイビー、パープル、ベージュの色が組み合わさったアールデコ調の色柄合わせは、30年代のスタイルに華やかでモダンなエッセンスを添える。



頭には夏用のバスク・ベレー、そして足元は黒×白のコレスポンデントをもってきた。スーツにバスク・ベレーをあわせるのは、このスタイルではかなり難易度の高いあわせ方かもしれない。しかしながら、当時の究極の紳士、エドワードZ世、かのウィンザー公はこんなにもさらりと、バスク・ベレーをスーツにあわせてしまっている。しかもダブルブレストのスーツにコレスポンデント・シューズ、ラペルには花を挿すという、究極の粋な装いである。(画像出典:DORSO No.14 2002年夏号 アシェット婦人画報社/刊)



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