今回はサイト管理人の知人の一人であるT氏がSAVOY dressmaker にオーダーしたスーツを紹介する。T氏も沖坂氏から「是非紹介したい方がいるんです。」と言われていた方であったが、結局お会いできたのは沖坂氏のお別れの会の場であった。このスーツはそのお別れの会の場に着ていらした一着で、氏にとって SAVOY dressmaker に初めてオーダーしたものであるという。なんと彼は当時若干二十歳そこそこの年齢でありながら、その着こなしは素晴らしく、往年のスタイルにも造詣の深い、研究熱心な青年であった。私がお会いした二十代の若者の中では、間違いなくNo.1の着こなしをされる、将来誠に楽しみな方である。お別れの会の際一緒にいらしたパートナーの女性も、アールデコの時代からそのまま抜け出してきたかのような衣装を召された、とても素敵な方で、カップルでここまで徹底できている兵(つわもの)がいらっしゃると思うと、我が国の洋装服飾文化もまだまだ捨てたものではないと思わされる、とてもたくましい方である。


生地はTHORTON-JONESのデッドストック。厚みのあるオルターネイト・ストライプの生地。分厚く重みのある生地に惹かれたというT氏。聞けば氏は、このスーツを成人式に着ていくために誂えたという。成人式でこんなスーツを着ている猛者は私の頃にはいなかった。末恐ろしいとうべきか(笑)


  
仕様はスリーピースのシングルブレステッド三ツ釦ピークドドラペル。厚みのある生地と相まって、一見するととても状態のよいヴィンテージの古着のような、そんな雰囲気を醸し出している。ノッチドラペルよりも先にシングルピークドで誂える方が多いのは、30sならではの傾向ではないだろうか。



  
正面画像。釦はナットボタンを使用。
シェイプしたウエストのラインが素晴らしい。


ウエストコート。



クラバットは、SAVOY dressmaker で実験的に数枚製作したうちのひとつを
沖坂氏より譲っていただいたものをあわせてみた。
赤地に小さなペイズリーが遠慮がちに配された柄が可愛らしい一枚。
これを同じく沖坂氏から譲っていただいたカラーバーで留める。
小さくまとめたノットのクラバットとボリュームのあるピークドラペルとのバランスが良い。




私も久しぶりにシングルピーク三ッ釦をつくってみようか、と本気で思わされる一着であった。







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