生地は英国Thornton-Jonesのデッドストックを使用。ネイビーの地にブルーとエンジという、典型的なオルターネイト・ストライプである。オルターネイト・ストライプは1930年代当時の APPAREL ARTS やEsquireといった本では頻繁に出てくる柄で、このスタイルの定番とも言える柄である。

正面の上衣画像。今回前あわせは二ツ釦の仕様に。当初、二ツ釦のスーツを誂えるつもりはなかったのだが、生地見本を拝見したときに、SAVOY dressmaker の沖坂氏より「二ッ釦にするのも良いのでは？」という提案もあり、あえて二ッ釦にトライアルしてみた。Vゾーンが長く下に広がる分だけよりシャープな印象に感じる。強く絞り込まれたウエストラインと相まって、より着丈が長くなった印象だが、丈の長さは全く手を加えておらず、加えてオールドのもので私が着られるサイズのものとほぼ変わらない数値であった。

後ろからの画像。絞り込まれたライン、そして裾にかけてヒップにピッタリと沿った瓢箪型のシルエットが美しい。ジャケット下にはウエストコート。裏地は当時のものに倣いアルパカ仕様に。

ボリュームのあるラペルと盛り上がったロープドショルダーは、よりインパクトが強い。享楽的なデコな時代の紳士が着ていたかのような、そんな趣きを感じさせる一着となった。