沖坂秀樹氏の思い出 帝國喫茶 私は、沖坂さんの訃報を知った時、沖坂さんが亡くなられた実感が沸きませんでした。
不思議なもので「喪失感」というよりもむしろ「不在感」と言うのでしょうか…。 未だに銀座の事務所のあった一室に行くと沖坂さんが居てくれているようで…まるで、今度沖坂さんに会ったら沖坂さん亡くなってしまったことお伝えしなきゃ…。ってそんな感覚なんですね。変な話ですが…。
なんだかどこかに沖坂さんが居るような…今でもどこかの公園で、愛用していた白いヴィンテージのカメラ片手に写真でも撮っているのかのような…そんな気がいたします。
しかし「お別れの夕べ」にお伺いすると…やはり亡くなられてしまったのですなぁ、沖坂さんは…沖坂さんの写真は当然見慣れているのですが、それが置かれている場所を見ると…あぁやっぱり…そうですか…と。 あの日に着用していたスーツは、ちょうど2年前のオフ会当日に間に合うようにと前日に仕上げていただいたものでした。当日の「SAVOY」受注会会場の玄関まで沖坂さんが直々に出迎えてくれて… ふだんはぶっきらぼうな沖坂さんの、その時の嬉しそうな笑顔が忘れられません。何だかついこの間のような気がいたします。 実は2004年に沖坂さんが「ドレーパーズベンチ」を退社された後、2005年4月にわざわざ連絡をいただき、氏の自宅近所で久しぶりにお目にかかったことがありました。
そのときはなんでもない普通のパスタ店で夕食を共にしつつお話をしたのですが、帰り際に沖坂さん嬉しそうに「たまにはこういう時間もイイでしょ!」とおっしゃっていました。 そのときは、いえいえ私の方こそ楽しいひとときでした。と恐縮しつつ思ったものですが…いま思えば、自分でこう言ってしまうのもなんですが、 本当に沖坂さん、楽しかったんでしょうね…。 ご自宅からわざわざ最寄駅まで見送っていただき、本数の少ない電車を待つ間のなんでもない会話が…楽しかったですなぁ。 そんななんでもない時間を…そして当然これからも続くと思っていた時間を…もっともっと大切にしておけばよかったと…もう言っても仕方ないことなのですが…。 人によっては「もういいかげんにしなさいな!」と思うのかもしれませんが 沖坂さんのことでは、しばらく話が尽きません。 悲しいことですが、死者はいずれ忘れ去られます。 それが健全なことだと思います。 そして、忘れてしまうことが生きている証なのだと思います。 でもときどきは…思い出してあげたいなぁと、私は思っています。 そして、いつまでも、忘れずにいたいなぁと思います。 |
|
|
|
← Previous Page Legend Top → | |
All Contents Copyright (C) 2009 ESKY |
|