Attie氏の誂えた沖坂氏ディレクションによる
ビスポークスーツ

(28th April 2005)








2005年春。GW前の4月28日、以前より当サイトのLounge Roomでも懇意にさせていただいているAttie氏の誂えたO氏の仕立による春夏用のスリーピーススーツが仕上がったとのことで、その場にお邪魔させていただいた。

Attie氏との出会いは当サイトのLounge Room(掲示板)に書き込みをいただいたことがきっかけであった。当サイトも出来たての頃で、たしか掲示板も掲出したばかりだった頃のことと記憶する。私のAttie氏の印象はとても言葉遣いが丁寧で、文体に相手に対する配慮を感じさせる方だった。アールヌーヴォーやアールデコ、西洋アンティークに造詣が深く、同時に和装も装われ、日本の文化に対する深い愛着もお持ちの方で、自らの持つ美的感性にしっかりとした姿勢を窺わせる只者ならざる雰囲気を感じさせる方であった。そんなAttie氏と直接お会いしたのは、沖坂氏が Draper's Bench を辞められ、是非一度お会いしたいというお問い合わせを当サイトにいただいたことがきっかけだった。Attie氏の行きつけのBarで三者の会談の場が設けられ、以前から一度沖坂氏の仕立によるスーツを誂えてみたかったというAttie氏のオーダーとなった。直接お会いしたAttie氏はやはり想像どおりの素敵な方で、そのお話しぶりから漂う雰囲気は、明治〜大正期の財閥の御曹司を彷彿させる方だった。

さて約束の場所へ赴くと、一足先に沖坂氏が到着していた。氏はこの春夏用に自ら誂えたという、コードレーンのスーツを装って登場。三つ釦シングルブレステッド・ピークドラペル。ロングポイントシャツにカラーバーでタイのノットを留め、ホワイトのUネックのコットンヴェスト、タイはレジメンタルのものをあしらっていた。足元には紺×白のコンビネーションUティップ。爽やかな初夏のリゾート地へ赴いた往年の紳士のような佇まいである。無造作に胸元に差し込んだチーフも、氏の手になると非常に粋である。尚、このスーツについてはGallery 2.でも紹介しているので興味のある方は参照していただければと思う。


しばし沖坂氏と歓談のうちに今回の主役であるAttie氏が到着。三人でお会いするのは久し振りということもあり、またまたいろいろな話に華が咲いてしまった。ひとしきり歓談後、今回の仕上がったスーツの試着に。氏は今回ピンチバックのスーツが欲しいと強く熱望されており、今回のスーツはそうした嗜好を反映したものとなっている。
誂えたスーツは、三つ釦シングルブレステッド・スリーピース。生地は英国 Edwin Woodhouse 社のデッドストックで、非常に番手の細かいキャバルリー・ツイルを使用したもの。キャバルリー・ツイルは元来騎兵隊の制服等に用いられていた生地だが、今回の生地は通常のものより高番手で目がかなり細かく、一見するとそうは見えないほどしなやかで柔らかい印象を受けるものであった。個人的な想像だがこの生地は恐らく騎兵隊や軍関係の上級士官がセレモニー等の正装用に利用されることのあった生地なのでは、と想像する。ラペルはピークドラペルで、ポケットはスラントポケットに。背中のピンチバックはウエストバンド+センタープリーツ縦一文字仕様という凝った仕様。これは映画「Chinatown」でジャック・ニコルソン扮する主人公J・J・ギデスが着ていたものと同じ仕様である。沖坂氏曰く「初めてやった」仕様とのことであった。



沖坂氏による、今回のスーツのガイダンスに聞き入るAttie氏。


ピンチバックにも関わらず、非常にエレガントな雰囲気に仕上がっている。



今回撮影場所としてご協力いただいたのは、青山にあるTaylor&Cutter。GIEVES&HAWKES、銀座壱番館で修行されてきたテーラーでもありカッターでもある、有田一成氏のつくるスーツは、まさしく「正統派」。有田氏と沖坂氏は実は以前から懇意にされていた間柄のようで、今回有田氏の御厚意によりアトリエの一角での撮影をご協力いただいた。





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