( 16th December 2007 )




2007年12月9日、当サイト3回目のオフ会の記録。


今回は、LoungeRoomでもお馴染みのLEO氏が幹事役を買って出ていただいた。店はそんな氏のいきつけの「BISTROT D'ARTEMIS」(ビストロ・ダルテミス)。パリにあるビストロの雰囲気に溢れたこの店は、フランスの伝統的な家庭料理、特に豚肉や内臓を使ったソーセージ、ハム、テリーヌといった素朴で温かみのある料理を出してくれる店。店内は雰囲気のあるライトやアンティーク小物、サヴィニャック等のリトグラフ等も飾られており、まさにパリのビストロといった風情であった。



お集まりいただいた紳士たちで、おいしい料理に舌鼓。ついついワインも進む。きちんとした装いの紳士が揃っての食事というのは、結構なかなか心地良いものでした。往年の紳士クラブがあったのが、うなづけるようなそんな気分もあじわう。



さて、今回参加いただいた方々の装いを拝見しよう。


◆ Noboru氏 ◆
今回初参加のNoboru氏は、SAVOY dressmaker で誂えたという
シングルピークのスリーピースで参加。
上着はインバーネスコートを羽織っての登場。
SAVOY dressmaker のスーツは、Fisherの目の細かいバンカーストライプの生地を選択。ビジネスでも活躍する正統派なチョイス。クラシカルな雰囲気のピンホール・シャツはユナイテッド・アローズのもの。クラバット、ポケットチーフとパワーカラーである赤を基調にまとめた装い。




靴はJohnston&Murphy。リーガルがライセンスを始める遥か前に購入したというものとのこと。




◆ SHUZO氏 ◆
Lounge Room(掲示板)ではいつも詳しいコメントをいただいている、SHUZO氏。
今回やっとお会いすることができた。
SHUZO氏装いのスーツは、かつての英国ヴィンテージの名店「Debut」にて1997年頃に誂えたもの。生地は当時のデビューにあった現行生地の中からもっともウェイトのある部類から選択したFisherのものだそう。氏曰く「僕が好きな20年代30年代初期の服には、肩幅の狭い端正なスタイル、それでいてラペル幅が広く、狭い肩幅内にワイドなラペルが支配しているといったニュアンスのスーツが多かったんです。そんな当時のスーツの独特な雰囲気を目指したかったんです。」とのこと。トラウザーズはこのスタイルの基本型、ハイウェスト・ハイバックのサイドアジャスター仕様。裾幅はボリューム感のある30aに指定。当時のオールドをいくつも見ている氏が特に気をつけたのは、ブレイシーズの釦をなるべくウエストバンドの縁近くに付けて欲しいと注文したこと。「オールドを見ていると、ブレイシーズで吊った時に釦が縁からはみ出るくらい端に付けてある印象が多かったので、特にそれを意識しました。」実際にご自身の目でいくつも見てこられた当時のオールドにあった仕様をあえてそこまで意識するところ、かなりマニアックである。シャツは白地に赤のグラフチェックのもので、これもデビューにてオーダーのもの。襟はロングポイントでソフトに、カフスには芯を入れて固く仕立てているのがお気に入りとのこと。レジメンタルのタイはオールドで、これも当時のデビューで購入したもの。当時多かった暗色系のレジメンタルは、明るい色目の多い現代のものとは、一味違う渋い色目。帽子はOverrideという現代の帽子ブランド。クラシックでありながら、古臭いだけでない、どことなく「今」のモードやロンドンヒップを感じさせるSHUZO氏の雰囲気は、こうした帽子のチョイスなどからくるのかもしれない。
コーンケーブショルダーのラインが見事に美しい。
ラペルも当時のヴィンテージに見られる、「やや開いた」仕様が粋である。




◆ JET SET 氏 ◆
小慣れた雰囲気が素晴らしいJET SET氏。
氏も今回初参加の方。
JET SET氏のスーツは、NYのミケーレ・サヴォイア氏にオーダーしたという一着。やや広めの肩幅、そしてゆったりとしたドレープ感のある一着は、とてもエレガントな雰囲気。氏は1999年にニューヨーク 125EAST 7TH STREETのサヴィア氏のお店で誂えたとのこと。オーダー時に「最もティピカルな、Savoia Styleにしてくれ」という要望で、細かい点は全てサヴォイア氏にお任せしたそう。特徴的だったのはジャケットの前裾がスクエアになっているところ、またトラウザーズは裾がややすぼまったいわゆるベグトップ風になっていたところ。サヴィア氏は「Hollywood Style」と言っていたそうですが、なるほど往年のハリウッドの華やかな雰囲気が確かに漂っている。JAZZYな雰囲気や40年代のボールド・ルックのニュアンスも感じさせる、とても艶のあるスーツである。帽子はロンドンのJames Lock本店にて購入のボウラーハット、シャツはCohibaにてオーダーされたもの。クラバットは Draper's Bench 。一見クラシックですがどこかエッジが効いていて「ワル」(失礼!)を感じる雰囲気は、そうそう凡人には真似の出来ない上級者の着こなし。相当の洒落者とお見受けした。
全体的に柔らかくエレガントな雰囲気のこのスーツ、特にラペルのスーツの芯が大変柔らかく風に靡くような仕上がりで、とてもイタリア的なニュアンスを感じる。ウエストコートはダブルブレストで内合わせがゆったりとしていながら、とても身体にフィットした仕上がり、とのこと。




◆ Good Wood 氏 ◆
今回もワタクシから参加をお願いしたGood Wood 氏は、
端正で上品な正統派英国スタイルでまとめていらっしゃった。
スーツは SAVOY dressmaker のオウンメイク(=フルオーダー)。スリーピースで、今回は「法事にも着ていけるくらい普通なもので」とオーダーしたそう。二ツ釦ノッチドラペルの仕様は、私もまだ SAVOY dressmaker で試したことのない仕様だが、これを見ると是非試してみたくなった。「普通」でありながら、「いいスーツを着ているな」と思わせる雰囲気が漂う。かなり上級者でないとここまでの雰囲気は出せないだろう。生地は英国Royal Britanniaのデッドストック。ダークグレイの生地で良く見ると細かいヘリンボーン柄になっているもの。ホンブルグは銀座トラヤにて購入のBiltmoreをあわせている。「正統」、「上品」、「端正」の三拍子揃った、これぞまさしく折り目正しい英国スタイルといった雰囲気の装い。
美しい肩線、そして控えめなロープドショルダー。クラバットは SAVOY dressmaker で数量限定展開したボウタイをあしらった。シャツは SAVOY dressmaker にてオーダーした、シーアイランドコットンのもの。英国らしいジャーミン・ルックのレギュラーカラーシャツ。
靴は伊勢丹にて別注された、EDWARD GREENのパターンオーダー。スタイルはCHALSEAで、珍しい6アイレットの仕様に変更している。現在はこの6アイレットは受け付けていないそう。LASTはモダンな808。トゥのややスクエア気味のシルエットが美しい。




◆ Leo 氏 ◆
今回幹事のお努めをいただいたLeo氏は、殊玉のヴィンテージ・スーツを装っての登場。
コートは Draper's Bench で購入の「アクアロック」タイプ。スーツは1930年代のヴィンテージ。
購入したのはうろ憶えらしいのですが、たしかPOACHERだったような、とのお話。
頭に被ったフェドーラはボルサリーノのもの。
チャコールグレイにストライプという、典型的英国スタイルのスーツにあわせたシャツは、フランスのLST ROUGEのもの。ここは1930年代から続いているフルオーダーのシャツメーカー。ボウタイは Draper's Bench で購入のヴィンテージのTOOTAL。 Draper's Bench には時折こうしたヴィンテージものが一点もので入荷することがあり、他の顧客の方と取り合いになったものであった(笑)。
靴は、Exhibition Room No.6でご紹介の、ビスポークのコーレスポンデント。画像で拝見するよりも、やはり御本人が履かれている実物の方が遙かに美しかった。




◆ 帝國喫茶氏 ◆
当サイトLoungeRoomでもお馴染み、帝國喫茶氏。
SAVOY dressmaker にて誂えたスーツの上に、インバーネスコートを羽織っての登場。コートは某ドレスメイカーにて、「特別に」仕立ててもらったという逸品。スーツはSAVOY dressmaker にてオーダーの「オウンメイク」(=フルオーダー)のもの。生地は英国THORNTON-JONESのデッドストック。茶系のグレン・アーカートは、赤のオーバープレイドが重ねられた柄がとても素敵である。裏地は柄の色味とあわせて、焦げ茶のアルパカ生地に。太めのトラウザーズがお好みの帝國喫茶氏は、裾幅を29aに指定。帽子はChristys'のボーラーハットで銀座トラヤにて購入されたもの。斜めに被った様もとても粋である。コート姿での左手に持たれたグラヴはヴインテージもの、傘はBRIGGのヒッコリー、と小物まで手を抜かない鉄壁のスタイル。
シャツは銀座ナカヤにてオーダーのデタッチャブル・カラーのもの。生地はアンダーソンの120番手。一見無地に見えるが細かいヘリンボーン柄になっている。カラーは戦前のコットンキャラコのデッドストックをカスタマイズして合わせたとのこと。ボウタイは SAVOY dressmaker オリジナルの限定物。靴はロイドフットウエアのマスターロイド。これにシューズスパッツをあわせている。





今回も自分の全身画像を撮り忘れてしまった・・。上の画像が唯一LEO氏に撮っていただいた画像。ワインもかなり進んですっかりいい具合に「出来上がって」いる。決して酔っぱらった赤塚不二夫ではない。ちなみに今回のワタクシめの装い、ご参加いただいた方々の「本格的な」ドレス仕様の装いからただ一人だけ浮いてしまった、ファンシーなテイストになってしまった。スーツは SAVOY dressmaker 始動の遥か以前に沖坂氏に仕立てていただいた、フルオーダーのスリーピース。生地はスコットランドのScottish Piper というメーカーのデッドストック。分厚いヘリンボーンツイードで、色はかなり明るいライトグレイ。これに30sのシャツではなく、英国T.M.Lewinのワイドスプレッド・シャツ、クラバットはPierre Laget氏から購入した、かなり明るいピンクのレジメンタルをもってきて、フレンチ・エスプリをちょっと入れてみた。濃い30sではなく、若い女の子に「可愛いい〜っ!」と言われたいコーディネーションのつもりである(笑)。




◆ ◆ ◆ ◆ ◆

という訳で、今回のオフ会もとても楽しく、あっという間に時間が経ってしまった。それにしても今回は参加いただいた皆様全員がオールドスタイルのスーツをお召しになられての会になり、やっとこのオフ会も「らしく」なってきたなぁ、と思った。恐らくこれだけの装いの紳士が小洒落たビストロに夜な夜な集結して食事会を開く、という様は傍目からも圧巻(異様?)であっただろう。しかしながらこうした、きちんと装うことが好きな紳士諸兄が集って飲み食す、というのはなかなかに楽しく、また何よりも参加される方々の、様々なアイテムや分野に関する造詣やこだわりのお話をお聞きできるのは、自分自身の感性も磨かれる、大事なひとときである。時間にも限りがあり、皆さま一人一人と十分お話ができた訳ではなかったので、また改めてこのような機会を持てればと思います。ご参加いただいた方々、誠にありがとうございました。また、重ねて今回幹事役を引き受けていただいたLeo様にも厚く御礼申し上げます。どうもありあがとうございました。





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