Dressing for Autumn & Winter

3

"Deerskin Jacket, Fair Isle Knit, and 8-pieces Hunting Cap"












20世紀の紳士のスタイルにおいて決して避けて通ることのできない人物として、ウインザー公(エドワード[世)の名を挙げることに異論を唱える人は恐らくいないであろう。彼の逸話は、英国王室にその身をおきながらも、その職を捨ててまでして愛する人ウォレス・シンプソンとの人生を選んだという一大ロマンスもさることながら、紳士服飾においては、現代においてもスタンダードとなっている、彼による新しい装いや着こなしのプレゼンテーション、そして新しいアイテムの導入といった数々の功績を忘れることはできない。グレナカート・チェックのスーツにスエードのブローグシューズ、ハンティング・キャスケット、フェアアイル・ニット、ダブルモンク・ストラップシューズ、パナマ・ハット、難しいチェック・オン・チェックの装い・・。枚挙に暇のない彼の広めたエレガントな装いは、現代においてはスタンダードになっているとはいえ、当時においてまだまだ保守的であったと思える英国の紳士服飾界を踏まえると、そのセンスは身分や出自を超えた、彼の天性のものであったといえよう。そしてそのような数々の「装いの逸話」を通じて「紳士としてエレガントにかつ粋に装うこと」の見本を、結果として彼の意図に関わらず大衆に広め、また後世の紳士の見本ともなっていることそのものが大きな功績といえる。(画像出典:Esquire 日本版別冊 「The Art of Style  男子服飾の、正統。」/株式会社ユー・ピー・ユー刊)



今回の装いはそんな彼によって広められたアイテムの中で、フェアアイルニットを中心にした装いをしてみた。このアイテムは、ウインザー公がスコットランドのセントアンドリュース・ゴルフ場で着たことで有名になったもので、元はフェア島で古くから伝わる伝統工芸品のようなものだった。一枚一枚手編みで作られるカラフルな幾何学模様のこのニットは、その柄が元来フェア島に代々住む漁師の家紋に由来した柄が編み込まれていたものである。一説によると公がこのスェーターを着たことで、当時のシェトランド諸島の経済が一機に復興してしまったというほどの影響を与えたという話も残っている。(画像出典:Esquire 日本版別冊 「The Art of Style  男子服飾の、正統。」/株式会社ユー・ピー・ユー刊)


トルソに着せたものはDraper's Benchが毎年インポートでごく少量仕入れていたもので、英国Margaret Stuartのもの。手編みのため生産数が少なく、入ってくる時期も量も確定できず、手に入れるのに待った一品である。




ジャケットは贅沢にもディアスキンを使った、ピンチバック仕様のもので、これもDrapaer's Benchが少量ロットで展開したものであった。センターベントが入った当時のスポーツジャケットの雰囲気をよく再現した一着。ドレスシャツにウールのガンクラブ・チェックのクラバットをあわせてみた。ホワイト・グレイのオックスフォード・バグズにあわせたブラウンスエードのフルブローグは、青山のロイドフットウエアで購入した一足。


装いの締めとして、頭に8ピースのキャスケットをもってきた。
これは渋谷の老舗帽子店「山田帽子店」で購入したChristyのもの。

こんな装いで晴れた日に郊外の公園を散策しつつ、
当時のウインザー公に思いを馳せてみるのも一興だろうか?




Previous Page                                 Next Page


All Contents Copyright (C) 2009 ESKY