Dressing for Autumn & Winter

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"Brown Glenurqhart check Two-pieces Suit, Felt hat.
and Co-respondent Shoes"










以前、靴や時計に関して造詣の深いジャーナリストの井伊正紀氏のお取りはからいにより、このスタイルを嗜好されている方々何名かとお会いさせていただく機会があった。そのときいらっしゃった方々の装いを拝見したときに感じたことは、同じ志向のスタイルでも、着る人によってこうもテイストが変わるのかということだった。装いというのは装う方々それぞれの個性や感性が前面にでるもので、「あぁ、あの色合わせはあの人らしいなぁ。」とか「あぁ、こういった合わせ方をすればこの色が生きてくるのか。」と逐一ハッとさせられることばかりであった。ホンブルグにチョークストライプのスーツといった正統派の英国スタイルの方、目のさめるようなオレンジツイードのジャケットにフェアアイルニットといった装いの方、グレーのスリーピースにボルドーの柄入りのストールに同系のボルドーのフェルトハット(!)といった猛者の方、等々・・・。そのとき私自身にとっても、ちょっとした発見であったことは、私は英国スタイルが好きにも関わらず、装うときになんとなくどこかにアメリカっぽい雰囲気を残して装っていることが多い、ということだった。今回の装いはそんなことに気づかせてくれた、その会合での装いをもう一度再現してみた。


スーツは、ウインザー公が広めたことでも有名なグレンチェック(グレナカート・チェック)柄の、ツーピーススーツ。この柄の名前の語源は元々は「グレン・アーカート」(=アーカート渓谷)の意味であり、英国の地方の郷士のひとつであったアーカート家所有の柄として、19世紀の初めに考案され、代々伝えられていた柄であったという。それが時の経つのとともに、様々な派生形の柄が生まれていったらしい。ウインザー公で有名なグレンチェック柄はグレイ系の色で、重ねられるプレイドの色も青のものが「グレンチェック」として最もイメージしやすいものかと思うが、これはブラウン系の色味で、重ねられているプレイドの色も赤系の色のものである。



前身頃はシングルブレスト。ラペルはこのスタイ
ルらしい、ピークドラペルで二つ釦という、シャー
プな印象に溢れた仕様。フロント釦の上の
釦は拝み合わせになっていた





白いロングポイントのシャツにアールデコ調の織柄のクラバットをあわせた。シャツ、クラバットともにかつてのDraper's Benchで購入したもの。カラーバーはアンティークのSWANK社製。同じくヴィンテージのタイバーは矢が刺さっているかのような、騙し絵的なユニークなものである。


頭に被せたフェルトハットはかつてのDraper's Benchで購入したインポートもの.
有名な帽子メーカーの受注をしているFails Worthに、
当時ディレクターだった沖坂氏が別注したもの。
柔らかいフエルトがとてもさわり心地の良い一品。



足元にあわせたコレスポンデント・シューズは、英国のAlfred Sergantのもので、これも沖坂氏がDraper's Bench在籍時に別注をかけたもの。アイヴォリー×ダークブラウンの色合わせは、このスタイルにはあわせやすく、登場頻度の多い一足。




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